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斎藤 保; 奥 達雄
炭素, (91), p.129 - 133, 1977/00
原子炉用黒鉛に圧縮応力を負荷したとき生じる結晶粒内の変形、気孔の変形およびクラックの生成に関する結果を考慮して圧縮残留ひずみの構成要素を検討した。供試材料としては2銘柄の黒鉛を用い、圧縮応力付加によって生ずる残留ひずみを詳細に測定し、試験片の見かけの体積変化を測定した。見かけの体積と超音波伝播速度法で測定したヤング率は負荷応力にともなう残留ひずみの増加にほぼ比例して減少することが明らかとなった。X線回折法による結晶層面間隔と格子ひずみの測定結果から結晶粒内の変形が検出されないことから圧縮予応力の増加にともなう見かけの体積減少の原因は気孔率の減少によるものと考えられ、気孔の変形が大きな役割を占めることが推定される。また、ヤング率減少の有力な原因の一つとされるクラックの生成も気孔の変形とともに残留ひずみを構成する大きな要素となっているものと考えられる。
奥 達雄; 衛藤 基邦
Carbon, 11(6), p.639 - 647, 1973/06
被引用回数:20数種の原子炉用黒鉛のヤング率、引張強さ、圧縮強さに及ぼす圧縮予応力の影響を検討した。室温引張、圧縮強さについては10~10secの範囲のひずみ速度の影響も調べた。圧縮予応力の増加にともないヤング率と引張強さは減少することが明らかとなった。しかし、圧縮強さは予応力およびひずみ速度によってほとんど変化しなかった。予応力の増加にともなうヤング率の減少の原因としては、予応力の増加にともなう転位密度の増加とクラックの生成伝播の二つが考えられるが、予応力の増加にともないクラックが顕微鏡的に直接観察されることと、クラック生成にもとづくヤング率への寄与に対する計算結果との対応から、ヤング率の減少はクラックの生成、伝播によってよく説明できるように思われる。